【強い?弱い?】グランアレグリアの特徴
今回紹介する競走馬はグランアレグリアという馬になります。
2018年のデビューからGⅠを4勝(2021年5月12現在)
2019年にはJRA賞・最優秀牝馬に選ばれ、2020年にはJRA賞・最優秀短距離馬に輝いています。

それでは、この馬について詳しく見ていきましょう
競走馬データ
2016年1月24日に生を授かり、18年6月30日にデビュー戦を迎えます。この時、同年の最優秀二歳牝馬となるダノンファンタジーと人気を分け合います。
主な戦績
19年 桜花賞 1着
20年 安田記念 1着
20年 スプリンターズS 1着
20年 マイルCS 1着
受賞歴
19年 JRA賞・最優秀牝馬
20年 JRA賞・最優秀短距離馬
デビュー戦では1分33秒6を計測し、2歳新馬のレコードを1秒1も更新。その後はマイル以下の短距離路線でGⅠタイトルを獲得しています。
血統
父:ディープインパクト
母:タピッツフライ(米国産)
母父:Tapit
クロス:Nijinsky 6.25% 5×5 (母方)

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母と父について
ディープインパクト
父は日本近代競馬の結晶とも謳われるディープインパクト。
新馬戦から7連勝で無敗の三冠クラシックを達成。しなやかな馬体とピッチ走法とストライド走法を掛け合わせたような走法から鋭い末脚が目立ちました。
産駒それに準じた馬が多く、また休み明けが得意であったりもします。

大抵の人が知ってると思うのでこの辺で笑
タピッツフライ
母は米国生産馬のタピッツフライ。
通算成績は24戦7勝,獲得賞金は1,495,503ドル
この馬を一言で表せば「逆境に打ち勝つ馬」と言えるでしょう
デビューから3戦は米国&Tapit産駒らしくダートに出走するも未勝利
4戦目に芝に転向し1と1/2馬身差をつけて快勝します
ダートの逆境を跳ね返したと思いきや、骨折という新たな逆境が立ちはだかります
その結果3歳は全休を余儀なくされ、4歳にして復活するも9戦1勝と期待されてた頃の結果には遠く及びません
しかし、5歳初戦でGⅢに3着となると次戦でGⅡを勝利
これがタピッツフライにとっての重賞初制覇となった
続くGⅠでは3着,GⅡでは2着と好走を続け
ついに、5歳5戦目,デビューから24戦目にして待望のGⅠ制覇を成し遂げます
そして引退戦となるGⅠも勝利し競走馬としての幕を閉じることになります

相当な逆境に打ち勝ってきたタピッツフライ

でもその逆境は
引退後はノーザンファームで繁殖入り
しかし、2年間不受胎と子供を残せないまま時間が過ぎていきます
2016年、その逆境を跳ね返すかのように産まれたたグランアレグリア
牧場での評価も高く将来を期待されます
しかし、2018年グランアレグリアのデビュー見届けることなく、タピッツフライは他界しています
配合について
ディープインパクト×Tapitの配合はこれまで11頭が生産され、「グランアレグリア・アルーシャ・プライドランド」の3頭がオープン入りを果たしています
この3頭は基本的に高速馬馬場の2000m以下で好走傾向にあります

牝系との掛け合わせを見ていきましょう
父ディープインパクトは瞬発力に富む傾向が強いですが、母父を引き出しやすい傾向にある種牡馬のため、母父がどんな馬なのかを知っておく必要があります
母父Tapitは[Mr. Prospector18.75%3 x 4],[Nijinsky15.63%5 x 3],[In Reality9.38%5 x 4]というゴリゴリの米国型スピード血統になります
♦ミスプロはスピードの持続に強く、ニジンスキーはパワーの持続が得意で、インリアリティは圧倒的なスピードを補完する傾向にあります
距離適性の面を見てみると、ディープインパクト産駒の距離適性を伸ばすリファールの血は無く、むしろ短距離志向の血が濃いと言えるでしょう

大阪杯の敗戦はここに原因のひとつがありそうですね
また、ディープインパクトの瞬発力は[Sir lvor]に由来されていると言われており、[Sir lvor]を辿ると[Sir Gaylord]
つまりセレクタクトを産んだ名牝[Somethingroyal]に行きつきます
そしてグランアレグリアはこのSomethingroyalの牝系クロスを持ち、マイル近辺でのスピードと瞬発力が色濃くでていると考えられます

成績の示す通りマイルが得意な血統のようですね
競走成績
デビュー戦(1人気1着)
2018.06.03 東京芝1600m
■レース内容
晴・良馬場
8枠14番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.6 – 11.6 – 11.8 – 11.9 – 12.1 – 11.3 – 11.1 – 11.2]
前半36.0-後半33.6
1.8倍の1番人気に推され、2番人気は2.9倍のダノンファンタジー。ダノンファンタジーはこの年JRA賞・最優秀2歳牝馬を獲得し、桜花賞でもグランアレグリアと人気を分け合います。
道中は終始大外を回し距離ロスがありつつも最終コーナで先頭に立ち、残り200m付近でステッキを一発。反応良く持続的な脚とスピードを見せつけました。
また、このレースは従来の2歳新馬レコードを1.1秒も更新する驚異的なレコードになります。
■レース後のコメント
1着グランアレグリア(ルメール騎手)
「調教では走りたがって引っ掛かるところもありましたが、今日はゲートの中でも大人しく、いいスタートでした。リラックスして走り、乗りやすかったです。もっと長い距離でも問題ないでしょう。直線で抜けて1頭になった時にムチを1回だけ使いましたが、すぐに反応しました。ゴールに入ってもまだ力がありました。強そうです。楽しみです」
(藤沢和雄調教師)
「時計が速いのは芝が刈ってあって短いからでしょう。この後はどのレースと決めずに、一旦牧場に戻してゆっくりやることにします」
サウジアラビアRC(1人気1着)
2018.10.06 東京芝1600m
■レース内容
晴・良馬場
4枠4番・鞍上C.ルメール
ラップ[13.1 – 11.8 – 11.9 – 11.5 – 11.6 – 11.3 – 11.1 – 11.7]
前半36.8-後半34.1
出遅れから捲りつつ突き抜け行く別次元の競馬。ただし、捲るというよりかはかかるという表現のほうが正しく、Sペースが苦手な様子がうかがえました。
血統でも軽く触れたように、牝馬がTapitとなると前々に行こうとする推進力が前面に出ている印象です。
ラップはテン1Fを除いて11秒台で推移。レースレベルも非常に高いものでした。
■レース後のコメント
1着グランアレグリア(C・ルメール騎手)
「ゲートが開く瞬間にジャンプしてしまいました。それでもすぐにペースが遅くなってポジションを上げると2番手でリラックスして走らせることができました。うまく息が入りました。もともと能力が高い馬で、初戦から全体的にパワーアップしていました」

ここまで1度も揉まれる競馬をしていませんね
朝日杯FS (1人気3着)
2018.12.06 阪神芝1600m
■レース内容
小雨・良馬場
2枠2番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.7 – 10.9 – 11.7 – 12.4 – 11.8 – 11.3 – 11.2 – 11.9]
前半35.3-後半34.4
初輸送で迎えた3戦目
全馬互角のスタートから内枠を活かして先行策にでます
変に抑えてもかかる可能性が高いので先行策は最善の選択だったでしょう
勝ち馬のアドマイヤマーズはこれを見る形の3番手で徐々にポジションを上げつつ4角で一気に競りかけます
200m付近では横一線でしたが、そこから脚色で勝ったアドマイヤマーズが抜けて1着
これまで2戦は圧倒的なパフォーマンスで勝利してきたグランアレグリアが勝ち切ることができませんでした
後ほど詳しく解説しますが、これが最も苦手とするパターンになります

ちなみに、同じ理由でNHKマイルもパフォーマンスを落としています
■レース後のコメント
3着 グランアレグリア(C.ルメール)
「過去2回と違い、このレベルで馬体を併せる競馬を経験していなかったですからね。ミルコさんが外から来たときにバランスが悪くなり、内にもたれ前走ほどの反応がありませんでした。2番手でスムーズにリラックスして走ってくれましたが」
(藤沢和雄調教師)
「残念です。初めての右回りが影響したのか内へ逃げてしまいました。そんなに速いペースではありませんでしたし、道中は良い感じに見えたのですが…」

決定的な敗因はレース後のコメントでも触れられています
桜花賞(1人気1着)
2019.04.07 阪神芝1600m
■レース内容
晴・良馬場
4枠8番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.2 – 11.1 – 12.1 – 12.3 – 11.7 – 10.8 – 11.0 – 11.5]
前半35.4-後半33.3
グランアレグリア初のGⅠ制覇になります
外厩仕上げもあり休み明けは特に苦にしていませんでした
それどころか、どこかパフォーマンス上げてきた様子
スローペースの流れと左回りで内に刺さるという事から、800m前から位置を上げつつトップスピードに乗りやすくしました

内ラチに刺さり始めると減速しますからルメール騎手の好判断
しかもこのラップを上げ始めたタイミングはスタートからかかっていた2番人気のダノンファンタジーが落ち着いたタイミングになります
ダノンファンタジーもここに競りかけていけばチャンスはあったかもしれないですが、落ち着いた馬のギアをすぐに変えていくのは得策ではなく、川田騎手としてはしてやられた感がありましたね
結果的にタイムはアーモンドアイが記録したレコードをコンマ4秒塗り替えた1分32秒7
800m手前から加速し驚異的なスピードの持続力を見せつけていました
■レース後のコメント
1着.グランアレグリア(C.ルメール騎手)
「嬉しいです。すごく良い馬です。朝日杯FSで敗れてから、いろいろ勉強しました。朝日杯は速い脚を使えませんでした。今日は4コーナーから良い脚を使ってゴールまで頑張ってくれました。今日は4番手でリラックスしてレースができました。久々だったので心配しましたが、素晴らしい加速でした。この後、距離が延びてどうでしょう。マイルがベストではないかと思っています」
NHKマイル(1人気5着)
2019.05.05 東京芝1600m
■レース内容
晴・良馬場
4枠15番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.0 – 10.4 – 11.5 – 11.9 – 12.0 – 11.3 – 11.3 – 12.0]
前半33.9-後半34.6
スタートは若干遅れ、二の脚で先団にとりつくも、いつものように少しかかった感じ
パッと見はC.ルメールが巧いこと先行させたようにも見えますが、[10.4-11.5]の区間で強引に押し上げたら脚が残らなかったのはしょうがないとも見えます
そして中盤は包まれる形で揉まれながら中弛み
最後は4角6番手から直線を迎え、外に出そうと斜行しペナルティを取られました
脚は伸びてはいるもののどこかグランアレグリアのスピードを感じないレースでした

トップスピードにのれてなかったのでしょう

朝日杯と同じような要因ですね
■レース後のコメント
5着.グランアレグリア(ルメール騎手)
「スタートがあまりよくなかった。道中は行きたがって、それが最後にちょっと疲れてしまった。リラックスして走らないと…」
阪神カップ(1人気1着)
2019.12.21 阪神芝1400m
■レース内容
曇・良馬場
3枠5番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.3 – 10.5 – 11.1 – 11.3 – 11.4 – 11.3 – 11.5]
前半33.9-後半34.2

なんですかこのバグ時計
5馬身差の快勝に加えてこのラップ
内々を立ち回ったとはいえ強すぎるの一言です
道中は8番手で揉まれながらの競馬
脚を溜めたという人もいるけれど、ラップ的にも押し上げ的にも溜めてる印象は薄いです
そして上りは33.5秒
2着のフィアーノロマーノ(重賞2勝)に0.8秒も差をつけています

NHKマイルや朝日杯を逆の中盤がトップスピードを生み出した?
■レース後のコメント
1着.グランアレグリア(C.ルメール騎手)
「返し馬ではいい状態でした。調教に乗っていませんでしたが、自信を持って乗りました。今日は彼女の反応にビックリしました。ゴーカートみたいでした。内から馬の間に行って、すごくいい脚を見せてくれました。力が違いました。」
高松宮記念(2人気2着)
2020.03.29 中京芝1200m
■レース内容
晴・重馬場
4枠8番・鞍上池添謙一
ラップ[12.1 – 10.8 – 11.3 – 11.4 – 11.2 – 11.9]
前半34.2-後半34.5
このレースは見方が分かれるパターンですが、一番強い競馬をしていたことは間違いないです
今回[12.1 – 10.8 – 11.3 – 11.4 – 11.2 – 11.9]
例年[11.9 – 10.4 – 11.1 – 11.2 –
11.2 – 11.9]
重馬場ということを考慮してもペースは遅めだったかと思います
逃げたのがモズスーパーフレアですし
ただし、遅かったといっても中盤がたるむ遅さではないです
♦テンと中盤のギアチェンジ
今回:テン2F22.9秒→中盤22.7秒 -0.2秒
例年:テン2F22.3秒→中盤22.3秒 ±0
このレースはテン2Fは遅く、その影響もあって前半が遅いミドルペースと言われたりもしますが、中盤にかけて加速している点には注目が必要となります
つまり道中は淀みなく流れスピードを上げていく必要がったわけです

そろそろ気づいてきた人もいるかもしれませんね

気になる方は先に次章の「好走と凡走の条件」を読んでみてください
では、なぜグランアレグリアが負けたのか?
恐らく次の2点が原因になります
①中京は内から乾く
②中京で大外ぶん回しはご法度
1着モズスーパーフレア・3着ダイアトニック・4着クリノガウディーはグランアレグリアとタイム差無しの競馬
その3頭は①先団インコースで乾いてきた内を通り、グランアレグリアは②後方外4~5の重いコースを通っています
この差がハナ差をうんだと考えます

一番強い競馬をしていたのは間違いなさそうですね
■レース後のコメント
2着.グランアレグリア(池添謙一騎手)
「直線で外に出すとすごい伸び脚でした。初めての1200mでうまくレースができませんでした。結果を出すことができず残念です」
安田記念(3人気1着)
2020.06.07 東京芝1600m
■レース内容
晴・稍重
7枠11番・鞍上池添謙一
ラップ[12.1 – 10.9 – 11.2 – 11.5 – 11.6 – 11.4 – 11.0 – 11.9]
前半34.2-後半34.3

The・東京上級マイル
グランアレグリアが最も得意とする息の入れないラップでした
NHKマイルで敗戦したコースですがレースの質は正反対と言えるもの
彼女の好走パターンがはっきりとしたレースでしたね
アーモンドアイも完封して牝馬最強に躍り出た瞬間です
逆に、グランアレグリアと適性が真逆のアドマイヤマーズは敗戦しています

ちなみに2021年NHKマイルはシュネルマイスター・ソングラインもこの時計で走っていました
■レース後のコメント
レース後のコメント
1着 グランアレグリア(池添謙一騎手)
「しっかり、本当に良い状態に仕上げてくれていた事を返し馬で感じました。追い切りは、杉原騎手が乗って、良い状態に仕上げてくれて、まずはそこに感謝しています。
道中は折り合いに気を付けて進めていこうと思っていました。良いリズムの中で、あの位置になり、あとはタイミング一つだと思っていました。有力馬が後ろにいると感じていましたが、自信を持って動かして行き、そこからしっかり反応して、直線抜け出してからもしっかり踏ん張ってくれました。必死で追っていましたから、どれくらい差がついているのか分かりませんでしたし、後ろから来るのかヒヤヒヤでしたし、アーモンドアイは来ると思っていましたが、最後までしのいでくれて、グランアレグリアが頑張ってくれました。
アーモンドアイだけでなく、このすごいメンバーの中で勝てた事で、本当にこの馬の価値は上がったと思いますし、その勝利を手助けできて良かったです。また、藤沢調教師の馬でGIを勝てて良かったです。今日GIを勝つことができて僕の仕事はしっかりできたと思いますし、これからチャンスがあるなら、この馬にずっと乗っていたいと思います」
(藤沢和雄調教師)
「アーモンドアイを含めてたくさんGIを勝っている馬がいて大変だと思っていましたが、スタートも良く、上手にレースをして頑張ってくれました。中団あたりから手応え良く進めて、4コーナーでは安心して見ていられました。デビューから50kg近く馬体も増えて良い馬になってきています。ただ、穏やかになっているとはいえ、難しいところもあるので間隔を空けつつ使っていくことになると思います。夏場は適当なレースがないので、様子を見ながら考えていこうと思います。」

「先生ー!勝ったーー!!」と喜んでいた池添君、うれしすぎてコメントも饒舌です笑
スプリンターズS(1人気1着)
2020.10.04 中山芝1200m
■レース内容
曇・良馬場
5枠10番・鞍上C.ルメール
ラップ[11.9 – 10.1 – 10.8 – 11.5 – 11.9 – 12.1]
前半32.8-後半35.5

Tapitの血を強く感じたレースです
出遅れて道中は後方からでしたが、差し馬場だったこともあり結果的にはいい方向に転んでいました
モズスーパーフレアが[11.9-10.1-11.8]とラップを刻みましたが、これは前年と全く同じ推移です
しかし、後半は前年よりも1.2秒かかっておりインコースは時計の掛かる状態だったと言えます
とは言え、4角15番手から鬼脚で突っ込んでくるのは絶対能力が何枚も上手だったと言わざるを得ません

自身はラスト1Fは11秒フラットでまとめてます
■レース後のコメント
1着.グランアレグリア(C.ルメール騎手)
「グランアレグリアの強さは素晴らしいです。スタートはゆっくりで、1200mのリズムを見つけられず、後ろの位置になりました。心配しましたが、パニックになることなく、直線は凄く良い脚で伸びてくれました。ペースが速かったので、前の馬は止まりましたが、この馬はゴールまで、速い脚を使ってくれました。GIシリーズが始まり、その最初のGIを勝つことができて嬉しいです」
(藤沢和雄調教師)
「スタートが良くなくて、一瞬ヒヤッとしましたが良かったです。(今日は馬体重が)+12kgでしたが、秋に美浦へ戻って来た時には、もう少し増えていました。安田記念の後に馬が落ち着いてきて、体も随分大きくなりましたし、以前より穏やかになりました。阪神カップでもしっかり走っていましたし、短距離なら良い脚を使えると思って見ていました。順調に来られて、数も使っていないですから、これからまた頑張ってくれると思います」
マイルCS(1人気1着)
2020.11.22 阪神芝1600m
■レース内容
曇・良馬場
2枠4番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.5 – 11.0 – 11.4 – 12.0 – 11.6 – 11.0 – 10.8 – 11.7]
前半34.9-後半33.5

少し分析にくいのでグラフ使いますね
※クリックすると拡大されます
ラップはパッと見、前半スローから後半トップスピードをいかに持続させられるかというもの
中盤も12秒が計測されて山型になっています
次章でも解説しますが中弛みする山型はグランアレグリアが苦手とするパターンになります
ではこのレースはどうなのか
少し見にくいですが、グラフから全体的な推移を点線で示してあります
マイルCSは右下に傾いておりレース全体として加速していくラップといえます
つまり、12秒台は計測されグラフも山型ではあるものの、中弛みがあったとは認められないと思います
安田記念のように締まったラップではないものの全体的に加速はしていく得意なパターンだったでしょう

それと、このレースも200mくらいの切れ味で差し切ってましたね
■レース後のコメント
1着.グランアレグリア(C.ルメール騎手)
「すごく良いスタートを切って、良いポジションがとれました。スタートしてすぐ落ち着きましたし、ずっとリラックスして冷静に走れました。4コーナーまではすごく良いレースができましたね。直線で前が少し狭くなりましたが、それも競馬です。他のジョッキーも1番人気のこの馬をマークしてきて、良いタイミングで外へ行けず、我慢しなくてはいけませんでした。でも、いい瞬発力を見せてくれました。ラスト150mで広いスペースに出して、良い脚を使って、インディチャンプを交わしてくれました。彼女の強さを見せてくれました。素晴らしい馬です。まだ4歳ですし、大人になって落ち着きも出たので、乗りやすくなりました。彼女のパワーを全部使えるようになりましたから、来年も楽しみです」
(藤沢和雄調教師)
「1200mを使っていたので、五分のスタートを切って、速い馬にも楽について行けましたね。追い出しも余裕がありました。好位で競馬ができるとは思いましたが、内も開かないだろうし外からも来るだろうから、こういう形になりそうだと感じていて、想定内でした。
2歳の6月から競馬に使っていて、今の年齢まで一生懸命走ってくれて、穏やかになってきたので、調整も楽です。1200mも勝ちましたが1200m向きではないですし、1600mを上手に走れるようになってきたので、今後はもう少し距離を延ばしたいと考えています」
大阪杯(2人気4着)
2021.04.04 阪神芝1600m
■レース内容
雨・重馬場
8枠12番・鞍上C.ルメール
ラップ[12.4 – 11.1 – 12.1 – 12.1 – 12.1 – 12.8 – 12.2 – 12.1 – 11.6 – 13.1]
前半35.6-後半36.8
昼からの雨で重馬場となり時計もかかったレースです

中々特殊なラップしてるんですよね
特殊なラップを深く掘り下げる前に、まずは全体的なイメージ
マイルCSは右肩下がりでグランアレグリアが得意なラップ傾向と言いましたが、大阪杯はその真逆の右肩上がりの競馬でした
例年は右肩下がりの競馬だったのでグランアレグリアからしたら不運だったとも言えますね

そしてこんなラップになる事は滅多にないんです
前半5F(1000m)は12.1秒を淡々と刻むタイトなラップ
後半5F(1000m)は「6F目にかけて緩ませ、7F目にかけて加速し、8F目にかけて緩ませ…」と緩急の激しいラップ
こんな乗り方されたら後続は意味わからん脚使わせられるのでたまったもんじゃないです
さらに、この特殊なラップが発生するのは基本的に稍重~不良馬場のため余計に脚が削がれていきます
レイパパレ×川田騎手してやったりの1戦でした

他にこのパターンあったっけ?と思い返してみると…
2016年札幌記念と2011年福島記念が近いかと思われます
2016年の札幌記念はマイラーのモーリスが初めて2000mに挑戦したレースで、マイラーのグランアレグリアが初めて2000mに挑戦となった今回、調べている人は多かったと思います
2011年の福島記念は過去10年探している過程で発見しましたが…正直、後半の緩急が激しくないのでサンプルとしてはイマイチかもしれません
♦大阪杯と札幌記念のレース比較
~2021年大阪杯~
1着 レイパパレ 逃げ
2着 モズベッロ 追い
3着 コントレイル 差し
4着 グランアレグリア 先行
5着 サリオス 先行
~2016年札幌記念~
1着 ネオリアリズム 逃げ (→マイルCS3着)
2着 モーリス 差し (→天皇賞秋1着)
3着 レインボーライン 追い (→菊花賞2着)
4着 ヌーヴォレコルト 先行 (→渡米しGⅠ11着とGⅢ1着)
5着 ヤマカツエース 先行(→天皇賞11着)

なんだか似てません?
グランアレグリアは負けてしまいましたが、このラップ形態の時はモーリスでさえ負けてしまうパターンなんです
逃げ馬が先行~差し馬の脚を少しづつ少しづつ削いでいくため、馬券には流れを無視した追い込みが台頭してきてしまいます
したがって、敗因を求めるならば、前半タイト→後半緩急の苦しいラップ構成であり、また、彼女自身が緩急をつけられることを嫌うタイプだったという事でしょう

ぶっちゃけ馬場は不問だと思いますよ
■レース後のコメント
4着.グランアレグリア(C.ルメール騎手)
「しょうがないです。すごく良い競馬でした。休み明けでこういう馬場は大変でした。4コーナーまでは良い感じでした。良馬場の2000mならもつのかなと思います」
ルメール騎手は馬場に敗因を求めているので、重馬場の天皇賞秋に出てきたら面白い存在になりそうですね
というか、このレースのコメントみると馬場に敗因求めてる人多いですけど間違いなく元凶は川田騎手が10年に1度のラップを刻んだことです
ヴィクトリアマイル(想定1人気)
レース後に追記します
安田記念(1人気)
道中はケイデンスコールに蓋され、直線はシュネルマイスター横山武史が上手く進路を消していた中での2着。女王の貫録と鞍上の手綱捌きが光っていました。
中2週間の臨戦過程が不安視されていましたが、能力は見せつけていたので結果的にはこのスパンでも問題ないという事でしょう。ヴィクトリアマイルが伸び伸び走れて反動が無かったのも要因かもしれません。
ラップ的にはスローとは言え加速を要するもので得意なパターンだったかと思います。また、スプリンターズSのようにラスト2Fの脚は異次元でした。
こちらも天皇賞秋を見据えていると思いますが、現時点で一番有力な一頭ですね。モーリスのようにスピードで押し切る力があるでしょう。
【回顧】2021・安田記念 ~ラップ・血統・展開~
好走と凡走の条件
それではグランアレグリアの好走条件と凡走の条件を見ていきましょう
ラップ分析
■データ条件
凡走:朝日杯FS,NHKマイル
好走:上記以外のマイル戦
上記の条件でラップをグラフにするとこうなります
※タップで拡大されます
前半
テン2Fが速いというのもありますが、スプリンターズSの激流をこなしている面から、前半が速くなるのはあまり関係ないと考えられます
むしろ、血統的にも前向きでかかる側面があるため下手に抑えすぎるよりは速いほうが良いでしょう
中盤
朝日杯FSとNHKマイルに共通していたことはラスト5F~ラスト4Fにかけて中弛みしていたことです
これが敗戦の大きな要因を占めていると考えます
後半
注目したいのはラスト2F
凡走時はラスト2Fが23秒台になり、好走時はラスト2Fが22秒台になります
ラップ結論と解説
グランアレグリアは中弛みするレースが苦手な超イケイケ乙女
レース全体を締まったラップで走りつつ、ラスト2Fを勢いよく駆け抜けけて行くことが好走条件です
この競馬をされると他の馬からしたら息を入れるタイミングが無く、ラスト2Fで突き放されてしまいます
早い段階からトップスピードをに向けて加速し、ラスト2Fにギアを上げて瞬発力を見せつけるわけですから化け物です
逆に、中弛みすると他馬の押し上げを許す格好になってしまい、結果的にラスト1Fをいかに持続できるかという勝負になります
この場合は相対的に息を入れた3F特化型が相対的に有利になるのでグランアレグリアの結果には結びつかないものとなります
恐らく前向きな血統という事もあって、中弛みしている差してくるという側面もあると思います

ちなみに、この競馬が得意なのがアドマイヤマーズになります

朝日杯FSとNHKマイル勝ちましたしね

イメージ
車に例えさせていただくと…
グランアレグリアは早い段階で5速まで入り、ラスト2Fで6速になるイメージになります
アドマイヤマーズは3~4速で道中を進め、ラスト3F手前からで一気に6速まで上げていきます

伝わってる…?
要するに、グランアレグリアは基礎スピードで他の馬に脚を使わせ、ラスト2Fの勝負に持ち込めるかどうかが鍵という事です。馬柱を見ると上り33秒台をだしていたりと瞬発力タイプにも見えますが、どちらかというとロンスパで脚を持続させていく競馬のが得意でしょう
線形ラップなら右肩下がりですね
まとめ
グランアレグリアについて理解が深まったでしょうか?
一度スイッチをいれたら他馬を寄せ付けない圧倒的なスピードで駆け抜けていきます
逆に中弛みするようなレースではパフォーマンスを落としてしまいます
グランアレグリアからしたら中盤で溜めるなんて姑息な手段なのかもしれませんね
以上、一言で表せば「前しか見ない超イケイケの乙女」でした!

何か気になる事がありましたらTwitterまでご連絡ください!

最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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